食品安全強化法 制定から1年
2011年1月4日、オバマ大統領のサインにより、1938年の食品医薬品化粧品法の制定以来の食品安全管理の一大改革法である食品安全強化法(FSMA:Food Safety Modernization Act)が連邦法として発効してから、1年が経過しました。
アメリカは2001年の9.11同時多発テロ事件の発生以来、国防上の観点から連邦のシステムの見直しと強化を行なっていますが、今回のFSMA法も国民の健康と安全を護るため、国内、海外で作られ運ばれる全ての食材・食品の安全管理強化をFDA(アメリカ食品医薬品局:Food and Drug Administration)に託し、強力な権限を与え、いよいよ今夏より施行が開始されます。
今日は、このFSMAの特徴、適用時期など、2011年1月の制定から1年間の動きについて紹介します。
【FSMAの特徴】
FSMA法の最大の特徴は、対象となる食品が大幅に増えたことです。
これまで一部の食品(水産加工品、食肉類、低酸性食品、及びジュース)の製造に限定されていたHACCP(危害分析及び重要管理点:Hazard Analysis and Critical Control Point)管理手法導入の義務が、一部の例外を除き全ての経口食品に義務付けられました。
更に、これまでのHACCP管理上の主要管理項目である、生物学的、化学的、物理的危害要因の制御・管理もさることながら、バイオテロ、放射線ハザード、腐敗(カビ、酵母)、環境、アレルゲン、色素添加物、食品適正製造規範、などの分野を含む『既知あるいは合理的に予見可能な危害』を確認し、評価し、意図的な汚染や不正表示されないことを保証するための『予防的管理措置』を確認・実施しておくことが義務付けられました。(第103条他)
文書化したことを実行しておかないと、法違反となります。
【適用時期など】
この法律の施行はアメリカ国内の食品事業の所有者、運営者、及び代理人に対しては、本年(2012年)の7月4日から行われます。FDA検査官によるInspection(立入検査)の頻度も大幅に強化され、本年度は600件、2015年までに前年倍増計画により9600件の検査が行われる予定です。
アメリカの食品総需要の約15%を占める食品輸入者に対しては、来年2013年1月4日以降の米国への入関食品に対して施行される予定です。
懸案の輸入食品に関しては、国内輸入業者が次の二つの規定のどちらかを選択し、輸入を円滑に行える規定がありますので、あわせてご紹介します。
その1 .
第301条によるFSVP (Foreign Supplier Verification Program:外国供給者検証プログラム)が適用され、輸入食品が
①HACCPプランと実施・管理記録文書により製造された食品であること
②不良(Adulterated)食品ではないこと
③不当表示(Misbranded)食品ではないこと、が輸入者によって『検証』されていること
その2 .
第302条によるVQIP (Voluntary Qualified Importer Program:任意適格輸入業者プログラム)により、FDAにより認定登録を受けた第三者監査人の証明を受けた食品関連施設からの輸入食品であること。
【まとめ】
今回のFMSA法は“Beyond Hazard”、即ち食品業界で「健康危害要因」という意味で使われているHazardを、「Risk Source (リスク要因)」として捉え、予防的管理措置の策定と検証を事業者に求めるリスク・マネジメントが食品業界に求められる時代の始まりであると言えます。
また今後、食品流通がより速く、より大きな経済性で、よりグローバルになる中で、ヨーロッパを中心として活動が活発化しつつあるGFSI (Global Food Safety Initiative)の食品安全標準化の流れと相まって、食の安全を求める欧米両極の動きがより鮮明になっていくことが予想されます。
このような動きの中で、伝統と歴史のある日本の食文化の本来の安全性を、堂々と世界に通用させるための工夫が必要な時代となっています。
最後に、FSMA法が制定されてからの1年を、FDAの活動に絞ってご紹介します。
① ペットフードを含む輸入食品の事前通告に、他国で輸入拒否された事実があれば、その国名を事前通告に記載を
義務付ける暫定的なルールを公表しました。
② 水産業界向けに食品安全ハザードについてのガイダンスと、サプリメント業界向けに新規素材についてのガイダンス
を公表しました。
③ FSMA制定による多数の国内外の利害関係者に対して、FDAが推進している予防的管理ルールの普及活動
(説明会や会議、ウェブページ立ち上げ等)を実施しました。
④ 小規模及び零細企業の支援のため、製品安全同盟(FDAと農務省、コーネル大学による、農産物の安全性確立
に向けた提携)と食品安全予防的管理同盟(FDAとイリノイ工科大学に設置された機関による、製造元の予防措置、
是正処置計画の策定等の研修と訓練支援を目的とした提携)を設立しました。
⑤ 海外の食品安全検査の義務化と国内のハイリスク食品製造施設に対する5年毎の検査の義務化しました。
すでにFDAとそのパートナーは、2011年に国内の2万を越す食品製造施設の検査を実施しました。
⑥ FDAは、州と連邦、世界的なパートナーシップの構築を推進しています。
弊社では、FSMAに関するセミナー、およびコンサルティングサービスを提供しています。




