ISO22000 Q&A
- 今後はどのような業種・規模でISO22000取得の動きが加速しそうですか?
- HACCPと総合衛生管理製造過程承認制度(マル総)、ISO22000の違いとはどのようなものですか?
- ISO22000の規格の構成はどのようになっていますか?
- ISO9001では適用除外がありますが、ISO22000では適用除外が可能なのでしょうか?
- ISO9001を取得している場合、ISO22000の構築における時間的負荷はどうなりますか?
- すでにISO22000の審査がスタートしていますが、審査員の資格基準や登録などはどのようになっていますか。
- ISO22000では、前提条件プログラム(PRP)とオペレーション前提条件プログラム(OPRP)という言葉が登場しますが、これはどのようなものなのでしょうか。また、従来の衛生管理やHACCPでは、SOPやSSOPといったものがありましたが、これらとの関係はどのように考えればよいでしょうか。
- 現在の審査登録件数はどの程度ですか。
- 各審査登録機関では、審査員をどの程度、確保されているのですか。
- 審査登録済組織はどのような業種ですか。
- JABマークなどの認定マークは付与されるのですか。
Q1:今後はどのような業種・規模でISO22000取得の動きが加速しそうですか?
A:ISO22000でいう“フードチェーン”における川下から川上に位置する組織、すなわち消費者に近い小売業・卸売業から、製造・原材料メーカーへの展開していくものと思われます。また、規模については、大企業から、中小企業へと展開していくものと考えられます。
Q2:HACCPと総合衛生管理製造過程承認制度(マル総)、ISO22000の違いとはどのようなものですか?
A:すべてのHACCPの原点は、Codex委員会(国連食料農業機関〈FAO〉と世界保健機関〈WHO〉の合同機関である合同食品規格委員会)の「HACCPシステムのガイドライン」に基づいており、各国はこのガイドラインに準じてその国の制度を定めています。米国ではFDA(食品医薬品局)、USDA(米国農務省)が独自のHACCP制度を管轄し、日本では厚生労働省の総合衛生管理製造過程承認制度(マル総)が該当します。ただ、マル総は、承認の対象となる品目が限定(乳・乳製品、食肉製品、魚介類加工製品、缶詰・レトルト、清涼飲料水)されていることもあり、公的なHACCP制度としては不十分な状況であったと言えます。
一方、ISO22000はISO(国際標準化機構)が制定する国際規格であり、Codexを含む各国のHACCPの仕組みからハザード分析の手法を取り入れ、また、従来のHACCPの弱点であったマネジメントに関する部分としてISO9001の考え方を採用するなど、様々な規格の“いいところ取り”をした食品安全の仕組みと言えます。また、ISO22000では品目の限定がなく、あらゆる食品を対象とすることができます。
Q3:ISO22000の規格の構成はどのようになっていますか?
A:ISO22000は『1.適用範囲』~『付属書』までの内容となっており、その内、要求事項となる項目は、『4.食品安全マネジメントシステム』~『8.食品安全マネジメントシステムの妥当性確認、検証及び改善』となっています。
要求事項である4章~8章については、それぞれ、章毎に性格分けがされています。
まず、『4.食品安全マネジメントシステム』は主に全般的な事項、『5.経営者の責任』は主に経営者や責任・権限に関する事項、『6.資源の運用管理』は、主に資源の確保に関する事項となっており、詳細は異なりますが、ISO9001の章立てとほぼ同じといえます。
『7.安全な製品の計画及び実現』については、食品安全を確保するための一般的衛生管理などの条件設定や、ハザードの分析及びその結果に基づく管理手段の設定など、従来のHACCPの考え方に近い仕組みになっているといえます。
『8.食品安全マネジメントシステム妥当性確認、検証及び改善』については、ISO9001における“改善”の要素を含みつつ、7章での管理状況のモニタリングや測定、検証に関する要求事項を含んだものとなっています。
Q4:ISO9001では適用除外がありますが、ISO22000では適用除外が可能なのでしょうか?
A:規格要求事項の適用除外は認められていません。
Q5:ISO9001を取得している場合、ISO22000の構築における時間的負荷はどうなりますか?
A:ISO22000にはISO9001の要素が数多く組み込まれているため、特に、HACCP的な内容、即ちISO22000の「7章 安全な製品の計画及び実現」、「8章 食品安全マネジメントシステムの妥当性確認、検証及び改善」に集中して時間を注ぐことができ、ISO9001未取得の状態から比較すると、ある程度時間を短縮することが可能と言えます。
Q6:ISO22000の審査員の資格基準や登録などはどのようになっていますか。
A:現在、ISO22000に関する審査員資格には、2つあります。ひとつは、IRCA基準による審査員制度であり、もうひとつは、JFARB基準による審査員制度です。
IRCA(国際審査員登録機構)は、英国ロンドンに本部がある世界最大規模のマネジメントシステム審査員登録機構です。すでに国内では250名ほどがISO22000の審査員として登録されています。
また、JFARB(日本食品安全マネジメントシステム評価登録機関)は、日本国内の審査員登録機関として、2006年4月に(財)食品産業センター内に設立されました。すでに、260名ほどの方が登録されており、今後も登録者が増加していくものと考えられます。
それぞれのHPには、審査員の資格基準が掲載されていますので、詳しくはそれぞれのホームページをご確認ください。
Q7:ISO22000では、前提条件プログラム(PRP)とオペレーション前提条件プログラム(OPRP)という言葉が登場しますが、これはどのようなものなのでしょうか。また、従来の衛生管理やHACCPでは、SOPやSSOPといったものがありましたが、これらとの関係はどのように考えればよいでしょうか。
A:それぞれ、以下のように考えることが出来ます。
PRPは前提条件プログラム(Prerequisite Program)のことで、ISO22000を構築する際に整備しておくべき衛生管理を維持するために必要な基本条件及び活動を示します。ISO22000では、PRPはGMP(適正製造規範)などと同義語として設定されており、例えば、施設・設備の衛生管理、原料や製品、廃棄物などの取り扱い、交差汚染、人の衛生管理、防虫・防鼠といった事項について考慮することが求められています。
PRPを適切に管理していくには標準作業手順(SOP:Standard Operating Procedures)の整備が望ましいと言えます。それは、手順を定めておかないと従業員や作業員が勝手な判断で作業をしてしまう恐れがあるからです。ただ、ISO22000では、PRPを文書化することは必ずしも要求していません。そのため、SOPという言葉もISO22000では登場しません。
SSOP(Sanitation Standard Operation Procedure:衛生標準作業手順)とは、どのようにクリーニングやサニテーションするかを表した手順です。SOPはすべての作業手順を意図しますが、SSOPは衛生管理の作業に関する手順と言えます。SOPと同様、SSOPもPRPの一部と考えることができますが、SOPと同様の理由で、SSOPという言葉もISO22000では登場しません。
PRPは安全な製品を生産するためのガイドラインであると言えます。つまり、PRPとは衛生管理の方向性を示したもので、それを実現するための方法は各工場に任されています。SOP(SSOP)は各作業で何をどのように行うかを具体的に示した手順です。例えば「設備を衛生的にしなさい」等と衛生管理の方向性を示すのがPRPであり、そのための具体的な手順を示したものがSOP(SSOP)であると言えます。
OPRPとは、オペレーション前提条件プログラム(Operation Prerequisite Program)のことで、ハザード分析によって明確になったハザードに対する管理手段のことです。従来のHACCPでは、あくまでもCCP(重要管理点)を設定するためにハザード分析を実施するスタイルが一般的ですが、ISO22000では、ハザード分析を実施し、明確になったハザードについて、HACCPプラン(CCP)とOPRPのいずれかの管理手段によって管理することを求めています。
ISO22000では、OPRPは文書化によって、管理手段、モニタリング手順・記録、問題があった場合の修正・是正処置といった事項を明確にすることが求められています。OPRPとSOP(SSOP)は良く似ているように見えますが、モニタリング(監視)やその記録が求められたりするなど、どちらかといえば、HACCPプランの考え方に近いといえます。
PRPは、安全な食品製造に関する衛生環境を維持するために必要な基本条件及び活動ですから、工場全体で考える内容です。
一方、OPRP(HACCPプラン)は、それらの前提条件(PRP)がある上で、ある特定の製品や工程のハザード分析を実施したうえで明確になったハザードに対して管理が必要であると判断した結果、選定された管理手段です。ですから、PRPは特定の製品や工程に左右されない、基本的な衛生管理の考え方(土台)であり、OPRP(HACCPプラン)は特定の製品・工程にて設定される管理手段と言えます。同じ工場内で生産される製品であっても、製品が異なれば、当然、OPRP(HACCPプラン)は変わってきます。

Q8:現在の審査登録件数はどの程度ですか。
A:2012年3月10日現在、審査登録機関のHP等で公表されている登録件数は500件以上あり、公表されていないものを含めると600件以上あるのではと推測されます。また、公表された情報を確認すると、多い機関では40件以上の審査実績があるようです。
Q9:各審査登録機関では、審査員をどの程度、確保されているのですか。
A:審査登録機関によってバラツキはありますが、3名~15名程度は確保されているようです。審査登録機関によっては海外の審査員を採用しているケースもあります。
Q10:審査登録済組織はどのような業種ですか。
A:製麺、惣菜、水産加工、佃煮、製粉、製菓、食品販売、健康食品、ケータリング、給食サービス、医療法人等が公表されており、フードチェーンの中でも製造業が先行している状況が伺えます。
Q11:JABマークなどの認定マークは付与されるのですか。
A:2007年2月に、ISO/TS 22003(食品安全マネジメントシステムの監査及び認証を行う組織の要求事項)が発行され、これを受けて国内でもJAB((財)日本適合性認定協会)が審査登録機関の認定スキームを確立しました。現在は11機関がJAB認定を受けており、今後も増加していく予定です。
海外の認定機関により認定を受けている審査登録機関も多数あり、UKAS、DANAK、RvA、JAS-ANZなどのマークを付与できるところもあります。詳細は、各審査登録機関にお問い合わせ願います。




